―― それから11年ですね。多毛カット専門美容室を掲げられたのはここ2、3年のことだそうですが、きっかけは?
YouTubeに多毛の人向けのカット動画を載せたら、お客さまが1人、2人と来てくれるようになったんです。
Instagramでの集客がうまくいかず、動画を始めたのが6年前。美容師の中では割と早かったのですが、うんともすんとも反応がなくて。
それでも止めずに続けたら、多毛の人向けのカットで求められているという実感を得ました。ネットで検索してもここに特化しているところはない。ニッチな分野だけど、悩んでいる人がいるなら、自分たちはそこをやろうって思いました。
結果、多毛に寄せた動画を連発して出したら、お客さまが増えてきたので、これはもう多毛カット専門美容室と名乗ろう!と判断して、振り切ったんです。
―― ニッチに特化することへの不安はありませんでしたか?
なかったですね。多毛カットは高い技術が必要ですから。日々、オリジナルを探求しながら、技術を磨き続けています。
2年間、D.D.Aで基礎をしっかり身につけたことで、何か課題が出てきても自分を柔軟に変化させられるという自信がついたと思います。
―― 学びをやめないってすばらしいですね。山崎さんには、忘れられないお客さまはいらっしゃいますか?
割と最近のことなんですけど、施術の終わりに、涙を流して喜んでくださったお客さまがいたんです。
ずっと多毛に悩んできた40代くらいの女性で「こんな髪型になれたことがない」とすごく喜んでくれました。あの嬉し涙は忘れられないですね。自分の技術で、悩んでいる人を救える喜びはひとしおです。
―― ここからはガラリと趣旨を変えて、山崎さんと音楽との関わりをお伺いしていきたいです! 音楽を好きになったきっかけはなんですか?
母親と叔父の影響ですね。特に、叔父は音楽業界の人で、忌野清志郎さんと友達でした。従姉妹の家に行くとRCサクセションのCDがぎっしりありましたね。
それらをカセットに焼いて、文字通り擦り切れるまで聴きました。なので、僕の音楽のルーツはRCサクセションです。
他にも、マイケル・ジャクソンのライブの前方の席を取ってくれたこともあり、貴重な音楽体験をたくさんさせてくれたんです。
―― うらやましい!幼少期から音楽は身近な存在だったんですね。
大人になってからは、JAZZやヒップホップなど、聴く曲の幅が広がりましたね。
また、自分で曲を作ったり、音楽人と友達になれたり、音楽との関わり方が多様になっています。
YouTubeのサブチャンネルで「オンザコーナーらじお」というラジオをやっているんですが、ゲストには、ラッパーやクリエイターの友人に来てもらっています。
―― ラジオをはじめたきっかけはなんですか? 実は私も今年4月からレインボータウンFMで「はたらく × おんがく」という番組を担当させていただいるので、ラジオについてもお伺いしたいです!
PUNPEEのバックDJやラッパーとして活躍しているDJ、原島”ど真ん中”宙芳さんの「ど真ん中ラジオ」というラジオにゲストで呼んでもらったことがあるんですよ。
その時に使っていた機材を見て、やってみたいと思っちゃって、自分でも揃えました。彼との出会いは、惜しまれつつも閉店した高円寺の伝説のDJバー「ONE」でした。
―― やると決めたら、とことんですね。ラジオではどんなことを?
基本的にゲストを呼んでゲストの作品やその方の人生ストーリーについてトークすることが多いです。
僕の大好きなヒップホップグループ「THA BLUE HERB」についてひたすら熱く語り明かしている回なんかもあります。
実は、そのラジオの存在が、巡り巡って、THA BLUE HERBメンバーご本人のBOSS(ボス)さんに伝わったらしいです。
なんと去年、共通の知り合いがいるイベントでBOSSさんにお会いする機会がありまして。ずっと憧れていた人が「ラジオのゲストに呼んでよ」って言ってくれたんです。
緊張で何も話せなくなると思うので、いまだにお呼びできていないですね。BOSSさんをお呼びするときは、このラジオの最終回です 笑
―― BOSSさんのどういったところにあこがれているんですか?
自分の信念をもってやり続けているところですね。
マイルス・デイヴィスもそうです。“Cool”を追い求めて変化していく音楽が好きなんですよ。
それは音楽も生き様も一緒です。僕も変化を恐れず、自分のことをダサいって思わない生き方をしたいなと思います。
DJ yogurtさんのMix作品。彼は、フジロックなど、全国各地の様々なジャンルのイベント・パーティーでDJを行っている方です。
神保町の「ジャニス」という老舗貸レコード・CD屋さんの閉店直前に売られているのをゲットしました。美容室にもかけられるおすすめのリラックス曲です。
大好きなTHA BLUE HERBは必須です。
「ヒップホップの壁を壊した」と言われるほど、ロックやポップスなど多方面に影響を与えた作品なんです。
友人の原島”ど真ん中”宙芳さんが所属するラップグループの作品。クラシカルなサンプリングヒップホップで、いい曲なんです。
僕の音楽好きの原点なので、選びました!ジャケットの絵は、子供の性格を知るために使用する「児童絵画統覚検査」の絵ということで話題になりました。
「JAZZの金字塔」と呼ばれている作品です。最初CDで聞いた時は全然ハマらなかったんですが、20代後半にJAZZの面白さを知ってからはレコードで何度も聞いています。静かな曲なのにすごい熱量を感じるんです。
友人のDJ、にっちょめの作品です。彼は25年くらい前に中野坂上のスケボーコミュニティで知りあいになったんですよ。彼が10代の頃から知っているんですが、いつの間にか売れっ子DJになっていました。あの頃は可愛かったなぁ。
ラッパーと数々のコラボ曲をリリースしていて、唯一無二のスタイルですね。とにかくリリース速度が早く、毎回作品を聞くのが楽しみです。
山崎さんは、お弁当屋さんから美容師に戻った時も、高円寺の店舗を見つけた時も、偶然のチャンスに恵まれたとおっしゃっていました。
確かに、その偶然たちが、山崎さんが「なりたい姿」へ変化を遂げるためのきっかけになっている気がします。
そして、課題解決のために力を注いできたからこそ、唯一無二の多毛カット専門美容室という必然の結果につながったのだと思いました。
偶然がもたらした環境の変化。
必然を引き寄せた努力の結果。
うーん。ラッパーの方のように韻を踏むのは難しい。。。
「自分がかっこいいと思う自分でいたい」
私も、目の前のことで忙殺されずに、一度立ち止まって考えたいな、と思いました。
missato
Jobシンガー
missato(みさと)/実際に現場を見学し、時にはいっしょに作業を体験し、自分でインタビューを行って、働く人に寄りそった曲をつくり歌う「Jobシンガー」。14歳からシンガーソングライターとして作詞作曲を始め、2年間の社会人生活を経て音楽活動に専念する。2017年に自主製作のミニアルバム「Pioneer」を発売。Jobシンガーとして活動を始める。2020年にJobシンガーとしてのファーストアルバム「Joba#1」を発表。2021年より株式会社SAYプロモーションに所属。職業ソングアルバム「Job#2」をリリースする。
missato
→ YouTube:room missato
→ 公式サイト:missato.com
→ 連絡先(ライブ予約、職業ソング作成依頼):contact
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連載でおすすめしてもらった楽曲をまとめたプレイリストを作成しました。ぜひ、お聴きください!
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編集・取材・撮影/大徳明子 取材・文/missato(Jobシンガー)
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