―― ヒュウブランドから、2月に新商品が発売されました。業界でも評価の高いこのブランドについて、今日は聞かせてください。
ヒュウケアから、新たに「ナンバースリーヒュウケア ヘアオイル」が発売されました。保湿ケアができる、今までにない質感のヘアオイルです。
ヒュウブランドの商品はウェルビーイングのコンセプトに基づき開発されており、ヘアオイルにもそのコンセプトが反映されています。
―― コンセプトとするウェルビーイングとは?
これはナンバースリーが掲げる理念で、体や環境、健康に配慮し、心地良い状態をつくるということです。
まずは、ナンバースリーがヒュウブランドを立ち上げた経緯からお話しますね。
ナンバースリーはもともと大阪に本社を構えていて、伊丹に工場がありました。2015年に本社と工場2つの機能を一拠点に集約するため、神戸のポートアイランドに移転しています。
ポートアイランドは先端医療産業特区に指定されており、病院や大学、工場がたくさんあるエリア。
移転をきっかけに、新社屋の屋上にソーラーパネルを設置し、1階エントランスに水耕栽培を導入しました。
―― 水耕栽培ですか?
ナンバースリーでは、人と環境にやさしい「ウェルビーイング」をコンセプトにした商品づくりを心がけています。
そのコンセプトの象徴として、水耕栽培を導入したのです。
野菜はすべて無農薬で育てており、収穫した野菜はそのまま社員食堂で社員に提供しています。
美容師さん向けのセミナーや勉強会を開催する際は、管理栄養士の資格をもつ社員が大豆ミートのハンバーガーやタコスなどをつくり、みんなで食べることもあるんですよ。
―― 社内で健康的な食事ができるのはうれしいですね。
サロンで日々使う薬剤についても、体にどのような影響があるのか不安を感じている美容師さんが多いのではと思っていて。
私たちはまず、そうした美容師さんたちの不安を払拭していかなければならないと考えていました。
そして2011年に、浅野全民が社長に就任します。浅野は小・中学生と大学生時代をアメリカで過ごした経験から現地の動向に詳しく、ナンバースリーに入社後は国際部に所属していたため、海外の情報に精通していました。
そこで私たちは、世界的な広がりを見せていたボタニカルやヴィーガンの情報を集めるため、ロサンゼルスへ視察に訪れたんです。
当時のロサンゼルスは、街や海、空気をきれいに保とうという意識が特に進んでいた街でした。視察を通し、環境配慮の意識が日本でまだ浸透していないと改めて実感しました。
このような世界観で得た気づきをもとに、ナンバースリーは環境や人に配慮した商品を生み出すメーカーになろうではないかと、大きく舵を切ることになったのです。
―― ヒュウブランドが誕生したきっかけは、そこにあるのですね。
ただ、自分たちがいくら「これは良い商品です」と言っても、お客さまに信頼してもらえるとは限りません。やはり商品を信頼していただくには、第三者機関による客観的な評価が必要だろうと。
また、日本でもオーガニックやヴィーガンへの意識が高い人が増えており、美容業界でもその市場が拡大するだろうと予想し、世界的な基準である認証を取得することにしました。
お客さまに安心してご紹介できる商品をつくりたい。そうした思いから、ヒュウブランドがスタートしました。
ヘアカラーシリーズ「ヒュウ」およびヘアケアシリーズ「ヒュウケア」の商品は、ヴィーガン、PeTA(ピータ)、ハラール認証をしています※1。
※1 ヴィーガン認証は、動物由来の成分を一切使用していない、動物実験をしていない等を証するもの。ハラール認証は、イスラム法に則って生産・提供された商品やサービスであることを証するもの
―― 美容師さんに話を聞くと、みなさん「ナンバースリーさんは尖ったことをする会社」だとおっしゃいます。
ナンバースリーという名前には、1番が「サロンに来るお客さま」、2番目に「サロンさま」、我々「メーカーや代理店」は3番目のポジションであるという意味合いがあります。あくまで、お客さまやサロンさまのために商品をつくる。
それ以外にも第三者的な視点でモノを見て、今の市場におけるインサイト、つまり顧客を動かす隠れた心理に気づくような商品をいち早く開発しようという意味も込められているんですよ。
―― 海外展開もかなり早くから?
そうですね。1980年代に日本で初めてヘアマニキュアとヘアワックスを市場で紹介し、2001年には韓国と台湾に輸出しています。
アメリカの企業と提携して商品を出していた時期もありました。そうした部分で、かなり早い段階で日本の市場にないものを提案してきたと自負しています。
ヘアカラーシリーズのヒュウは、2018年に液体型の極微アルカリ酸化染毛剤「ヒュウグロス」からスタートしました。
これは先ほどのお話にあった「尖ったこと」につながる商品かもしれません。
―― 液体型なんですね。
日本では白髪を染めたり、黒髪から色を変えたりするためにヘアカラーをしますが、アメリカではブリーチをしてから色を入れるのが一般的です。
ただ、ブリーチ後に通常のアルカリ性ヘアカラーは刺激が強い。そこでゲル形状にして浸透性を向上させ、短時間での発色を可能にしました。
アルカリ量も削減して毛髪の負担を軽減しています。さらに、キューティクルが整うことでツヤも出る。
液体型は日本市場で定着しにくい形状なのですが、ヒュウグロスを使うメリットは大きいと考え、ブリーチ毛のファッションカラーとして提案しています。
―― 今はブリーチする方も増えてきていますよね。
ヒュウグロスをリリースして1、2年後に、ビビットなブリーチオンカラーのブームがやってきました。
ヒュウグロスはどちらかというと、ムーディーな外国人風ブロンドを提案する商品になります。カリフォルニアのセレブやハリウッド俳優が好むような白っぽいブロンドですね。
―― 液体型は日本市場で定着しにくいとおっしゃっていましたが、ヒュウグロスを発売してからの反応はどうですか?
浸透性と操作性の良さ、そしてナチュラルなブロンド風の髪色を表現できることで評判が良くて。
なかでも、海外で美容師を経験した方によく使用していただいています。液体型のヘアカラーは、日本ではナンバースリーにしかないものですから。
海外で使っていたようなヘアカラーを探していると、お問い合わせいただくことも多いです。
半年後には「ナンバースリー ヒュウカラー」を発売しました。これは、日本でなじみ深いクリームタイプのファッションカラーとグレイカラーです。
ヒュウカラーとヒュウグロス、どちらもアンモニアやシリコンを使用していません。アレルギーの原因となる「パラフェニレンジアミン」も不使用です。
お客さまだけでなく、毎日のように薬剤に触る美容師さんが安全して使える成分をセレクトしています。
―― 2022年には新しいカラーアイテム「ナンバースリーヒュウ コンセントレート」が発売されていますね。こちらはナンバースリーさんのなかでもとくに尖った商品だと聞きました。
そうですね。ヒュウ コンセントレートは、いわゆる塩基性と酸性のシャンプーのようなヘアカラーです。
かなり彩度が高いため、ブリーチ毛であれば1回で鮮やかに発色します。特にピンクは強く色が出ますね。
サロンだけでなく、染めた色をキープするためのホームケアとしても使用可能で、ピンク、シルバー、バイオレットの3色を用意しています。
ニッチな色展開ですが、このタイプでヴィーガン、ピータ、ハラール認証を取得しているのは珍しいのではないでしょうか。
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