クリームからジェルに。2剤に革命が起きた理由
── 今回のボンド カラーの目玉のひとつが、ボンド ジェル デベロッパー(2剤)だと聞きました。
2剤といえば、これまでクリーム状のものが通常でした。クリームにはクリームの良さがあります。例えば、根元部分はクリームが塗りやすい。でも、クリームは粘りが出るので、どうしてもコーミング時に髪にひっかかりやすいという課題がありました。
とくに、何度もブリーチしているお客さまだと、引っ掛かりがあってストレスがかかりやすい。それをウォーターベースのジェルにすることで、ストレスなくスッとのばしてあげられるようになりました。ジェル特有の伸びの良さが、デリケートなブリーチ毛の施術に合うのです。
── 今のお話を聞くと、なるほどと思います。が、そこまで良いものであれば、なぜ今までジェルで発売されなかったのでしょうか。処方が難しいのですか?
そうなんです。同じカラークリームにジェルを混ぜたときと、普通のクリーム混ぜたときとでは色の出方が全然違うんです。
── 発色に影響してしまう、と。
はい。あとは仕上がり時の手触りですね。クリームが白く濁っている理由は油分が入っているからです。その油分によって手触りが良くなります。しかし、ジェルベースの場合、感触をよくする成分をクリームほど入れられないので、限られた成分の中で手触りをよくするというのが難しいところでした。
クリームに負けない手触りの良さを引き出すためにはどうしたら良いのか研究を重ねたところ、クリームと似たような感触のものができました。であれば、より髪にストレスがかからないほうがいいよね、ということで今回ジェル形状のものを発売することになりました。
研究者内田さんイチオシのカラーはモカブロンド
── ブリーチ オン シェードの中で、内田さんが好きな色はどれですか? これは綺麗に発色した! と思う色を教えてください。
個人的には、モカブロンドが好きです。ミルクティーっぽい感じの発色が綺麗で。また、バイオレットピンクブロンド、ピンクブロンド、コーラルブロンド、オレンジブロンドは、ピラゾールと併用していただく設計になっています。これは、あまり多くのメーカーで採用されていない染料なので、他では見たことのない綺麗な発色になったと感じます。
── 企業ごとに得意な染料があるということでしょうか。
そうですね。得意というよりは、よく使う染料があると思います。弊社の場合は本社がヨーロッパの会社ですので、使える原料が限られてくる側面もあります。
── 日本の法律ではOKだけど、ヘンケル社としてはNGの原料がある?
そうです。ヨーロッパの研究者からは、「どうしてこの原料を使わないの」と言われるのですが、日本の法律で扱えないものだったりするんです。逆に、日本では使っているけれど、ヨーロッパでは使っていないものもある。
日本とヨーロッパと両方で使える原料が限られる部分は、外資系メーカーの研究者が苦しむところかもしれません。
グローバルにおける日本の存在感は確実に上がっている
── ボンド カラーも、ボンド ジェル デベロッパーも日本独自開発ですよね。
そうです。ファイバープレックスに関しては、日本の発言力は確実に高まっています。
── なぜ日本の評価が高いのでしょうか。
やはり、圧倒的な販売数とシェア率でしょうか。最初はそんなに爆発的に売れているという感じではありませんでしたが、時代と合ったのかもしれません。徐々に口コミで広がり始めて、あっという間にぐんぐん右肩上がりになったといった感じです。ブリーチブームや、アニメカラーブームのようなものとも上手く合ったのかなと思います。
新しい「文化」を作りたい
── ファイバープレックスシリーズは、明らかに日本人の思考や文化を変えましたよね。「髪色の自由」という選択肢を与えた。
そう言ってもらえるのは、とても嬉しいです。今でも覚えているのですが、大学を卒業して化粧品の研究開発を始めるときの志望動機が、まさに「文化を作りたい」でした。
例えば、私の親世代はお風呂でリンスをするとき、洗面器にお湯をためてそれを頭からかぶっていました。でも、今そんなことする人はいませんよね。これは、新しい商品が生まれることによって、文化が作られたということだと思うんです。
ファイバープレックスのブリーチ剤やカラー剤が、「好きな髪色で生きていくのが普通」の世界を作るきっかけになっていたら、本当に幸せです。
▽公式サイト=ファイバープレックス ボンド カラー
▽インスタグラム=@fibreplex_color
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取材・編集/大徳明子、佐藤友美 文/藍沢美香 撮影/久保寺誠