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「失敗をいとわない社風が成長を支えてきた」 ミルボン佐藤龍二社長インタビュー

20年前から構想をあたためてきた

── 記者会見でお話された、「宅配サービスを20年前から構想していた」というエピソード、しかも6000万円もの費用をかけたという話に驚きました。一度失敗した事業を再び興すことができたのはなぜでしょう。 

そこは、社長ですので!(笑) 

── トップダウンですか!(笑) 

というのは冗談ですが、この事業構想に関しては、私が強い意志を持ってリーダーシップをとってきました。 

記者会見で「スマートサロン構想は、さかのぼること20年前の企画に萌芽があった」と佐藤社長

たしかに6000万円も投資して実らなかったわけですが、ミルボンには失敗をリスクと考えない土壌があると感じます。当時、私は企画部長で、社長は先代の鴻池でしたが、「お客さんのために考えて、お客さんにとって本当に必要だと考えた上での失敗だから」と、前向きに評価してくれました。 

── その時はなぜうまくいかなかったのでしょうか。 

当時は、今ほど店販の重要性が認識されていなかったんですよね。やはり、技術売上が何より大事だと。 

コロナ以前から、ECサイトの構築を進めてきた

そこから20年経って、美容室を取り巻く事情は大きく変わりました。少子高齢化も進んでいるし、働き方も変化した。その環境下で時間あたりの生産性を上げていくには、やはり店販が重要になってくる。 

また、当時は、デジタル的なインフラが整っていなかったこともあります。 

「チャレンジしなさい」といつも伝えている

── アマゾンの日本語サイトオープンが2000年ですから、20年前というと、ECの仕組みも整っていなかったですよね。とはいえ、当時の6000万円の投資は今以上に大きな金額。普通の企業だと、出世ルートからは外されそうです。 

でも、そのチャレンジを推奨するのが、ミルボンなのです。 

私自身も社員には「チャレンジしなさい。失敗してもミルボンは、そうそうつぶれたりしないから」といつも伝えています。ただし、報告はしっかり聞きます。そうすると、上手くいきそうにないときは、だいたい本人が自ら気づきます。 

「大損失を出して失敗しても社長になった例が、ここにありますから」と佐藤社長は笑う

大事なのは、「自分で気づくこと」なんですよね。失敗しそうだと思ったときに、私がそれを止めてしまうと、人はチャレンジしなくなる。でも、自分で「あ、このままではダメだ」と気づいたときは、また再チャレンジする気持ちが湧いてくる。 

研究開発でも、事業開発でも、否定することはあまりしない。やりたいのならやったらいいよ、と。ただし、会社がどの方向に向かおうとしているのかは言いますし、「どういうメリットを美容室に作るのか、そこは明確にしてね」と伝えます。 

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