1959年の創立以来、60年以上にわたってヘアケア、ヘアカラー剤、パーマ液、スタイリング料など幅広いラインナップを展開する中野製薬。中野孝哉社長に今年の抱負をうかがった。
ブランドイメージ刷新図る
2020年の社長就任から、中野孝哉社長が一貫して力を入れてきたのが、ブランドイメージの一新。中野製薬の顔とも言えるワックスをはじめとして、スタイリッシュなデザインと世界観を構築してきた。
「プロフェッショナルのヘアケアメーカーとして、内容成分にこだわることはもちろんのこと、選ばれるビジュアルで店販の購入率のアップに寄与したい」と語る。
オンラインストアで店販をサポート
同時に注力しているのが、「NAKANO ONLINE STORE(ナカノオンラインストア)」の運営。BtoBtoCのサロン専売品ECサイトとして、2021年9月の開設以来、サロンからの評判は上々だという。
「サロンのオンライン事業はスタート時こそパワーがいりますが、一度スタートすれば、その価値の高さに気づいてもらえる」と中野社長。サロンの休業日や年末年始などでも顧客が商品を買えることは「自動的に売上があがっていくようなもの」。サロンは一層、施術に専念できる。
メーカーとしては、プロモーションやノベルティの付与などでサポートをし、導入ハードルを下げているという。
美容室の未来が広がる「予防医療・ヘルスケア」
また、中野製薬が掲げる「お客さまのサロン体験の最大化」の具体的な施策のひとつとして今後力を入れていきたいのが、予防医療の分野だ。
毛髪数本で「ホルモンバランス」や「ストレスなどの精神状態」を分析できるシステムが完成間近。そのフィードバックを通じて、美容師がメンタルケア・ヘルスケアの分野でもアドバイスできれば「お客さまのサロン体験の最大化」が実現できる。
「自分で毛髪を抜いて分析をしてもらうとなると抵抗があるでしょうが、美容師さんが切った髪を『送っておきますね』と言ってくれるのであれば、心理的なハードルは下がるはず」(中野社長)。
「アドバイスをするだけではなく、ヘルスケアやメンタルケアの商品を美容師さんがおすすめできるようになれば、新しいマネタイズのチャネルにもなる」と思い描いている。
美容業界の収益構造改革を
1月に配信した今年の方針「NEW MESSAGE 2023」から一貫して、「美容業界の収益構造改革に取り組む」と宣言する中野社長。
「インフレにも耐えうる収益を確保するためにも、メーカーが単価アップのサポートをできる場面を増やしたい」と抱負を語った。
編集/大徳明子、杉野碧、畑中美香 取材・文/渡辺みゆき 撮影/筒浦奨太