理美容店舗向け予約管理システム「BeautyMerit(ビューティーメリット)」を運営する株式会社サインドが、「かんざし」を運営するパシフィックポーター株式会社を子会社化する。
パシフィックポーターを子会社化
集客予約サイトの一元管理機能を提供する大手の買収ニュースが飛びこんできた。
サインド(東京都品川区、代表取締役社長:奥脇隆司)は2023年1月30日開催の取締役会において、パシフィックポーター(東京都新宿区、代表取締役社長:真玉寿人)を連結子会社化するため、株式譲渡契約を締結することを決議した。
2月2日に契約を締結し、2月24日をめどに株式譲渡を実行する。みなし取得日は3月31日となる予定。
グループ化によりシェアを高め、理美容業界の予約管理システムにおいて業界ナンバーワンの地位を確立するのが狙い。買収後についてはこれから検討する。かんざしがすぐに無くなるといった予定はないという。
年商2.9億円・8000店のかんざしを28.5億円で買収
契約店舗数は、ビューティーメリットが6400店舗、2017年スタートのかんざしが8100店舗(2022年9月末時点)。
資本金では、サインド(11億9700万円)がパシフィックポーター(1億6000万円)の約7.5倍で知名度も高い印象だが、意外にも、契約店舗数はかんざしの方が多い。
パシフィックポーターの2022年3月期売上高は2.9億円。営業損益が1億3200万円の赤字ではあるものの、2020年から22年までの年平均成長率(CAGR)は43.4%。売上増にともない、利益率も徐々に改善している。
ビューティーメリットが予約の一元管理機能から自社予約システム(店舗公式のスマホアプリなど)まで幅広く提供しているのに対し、かんざしは予約一元管理機能に特化しており、月額5500円という低コストで導入できるのが特徴。
パシフィックポーターの株式は28億5000万円で取得する。このため、三菱UFJ銀行から12億円、三井住友銀行から3億円の計15億円を無担保・無保証で借り入れる。不足分は、上場で集めた資金を充てるという。
理美容業界最大の予約一元管理サービスへ
今回の買収により、理美容業界最大の予約一元管理サービスが誕生することになる。
両者を合わせた規模は、契約店舗数が約1万4500店舗。シェアでは、集客サイト参画店舗12万店舗(2022年度)に対して12.1%、理美容サービス55万3000店舗(2020年度)に対し2.6%。
「まだまだ拡大余地はあるものの、今回のグループ化により、一定のシェアを獲得することになる」(サインド奥脇社長)という。
なおパシフィック社は、今後も“現経営体制”のもと、予約一元管理機能 (サイトコントローラー)において最も重要な各パートナー企業に対する中立性にコミットメントした経営を行い、理美容店舗に対して集客手法の選択肢の柔軟性を提供し、パートナー企業への貢献を通じたネットワーク効果の最大化を図るという。
「ビューティーメリット」が「かんざし」と並走するのか併合するかは白紙の状態。まずはナンバーワンのスケールメリットを生かし、その他のことは順次検討していくという。
パシフィックポーター株式会社
所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷3丁目14番5号
代表:代表取締役 真玉寿人
設立年月日:2013年12月3日
株式会社サインド
所在地:東京都品川区西五反田1-25-1 KANOビル3F
代表:代表取締役社長 奥脇隆司
設立年月日:2011年10月20日
文/大徳明子