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「目指すはアジアNo.1のクリーンビューティーカンパニー」 b-ex 福井敏浩社長インタビュー(後編)

④経営を身近に感じて育った少年時代

── 改めて、創業のきっかけを教えていただけますか?

先代は宇都宮で美容機器メーカーの営業所長をしていたのですが、40歳を過ぎてから待望の長男として私が生まれたのを機に起業したそうです。家の中に会社があり、庭に倉庫がある状態で、始まりはパーマ液を売るパーマ屋さんでした。

美容師さんの手荒れがひどく、お客さまの髪にもダメージがあったので、この両方を解決するために加温二浴式のパーマ剤を企画し、製造を委託して誕生したのが「ニューボンナチュール クリニックパーマ」です。

また当時は、シャンプーの後にはリンスというのが当たり前だったのですが、ニューボンシリーズからトリートメントを発売したところ、人気に火がつき、一気に売り上げがあがりました。

その後、創業10年目にヘアカラーを発売し、12年目に子会社をつくってドラッグストア向けのコンシューマービジネスを始めたという経緯です。

── 福井社長が子供のころは家業のような感じだったのですね。経営することが身近な状態で育っていらっしゃるのでしょうか?

幼稚園児のころから大人と話す機会が多かったので、人を観察するクセみたいなものが身についているのかもしれません。

給与が現金支払いの時代ですから、信用金庫の人が家に持ってきた札束を触って遊んだりもしていました。小学1年生くらいまでのことですけど。

「いま思うと、小さなころから大人と話す機会が多かったので、人を観察するクセみたいなものが身についているのかもしれません」

⑤美容師を再びあこがれの存在に

── 社長就任から20年の精力的な取り組みの数々をお話しいただき、ありがとうございました。最後に、美容業界の課題についてお聞きしたく思います。

美容師になりたいという人が減っていますよね。カリスマ美容師ブームのころは“なりたい職業”の1位でした。今の30代、40代のサロンオーナーは木村拓哉さんのドラマを見てあこがれたという方も多いですよね。それなのに今は、少子化とはいえ、美容学校の生徒数が減り続けています。

── 美容師があこがれの存在であることが欠かせないということでしょうか?

そうですね。大げさでなく、髪を切って人生が変わったという人はいます。美容師さんは、人生のいろいろなシーンに共にいる存在ですからね。

私は美容業界に育ててもらったようなものなので、恩返しとでも言いますか、美容師さんがあこがれの存在になるように、仕事以外でも貢献していきたいなと思います。

福井 敏浩
ふくいとしひろ

株式会社b-ex 代表取締役社長

1969年生まれ、東京都出身。米国ボストンの大学で経営学を学んだ後、父が起業した株式会社モルトベーネに入社。2001年、父の急逝により、31歳の若さで社長に就任。その後、早稲田大学大学院商学研究科でMBA(ビジネス専攻)を取得。「ロレッタ」「スロウ」など、独自の世界観と革新的なデザインでヒット商品を次々に生み出し、成長を続けている。2015年、創業40周年を機に、株式会社モルトベーネから株式会社ビューティーエクスペリエンスに社名変更。2021年に略称である株式会社b-ex(ビーエックス)に社名変更。

取材・編集・文/大徳明子 撮影/渡部実加子

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